今年は平成31年で、平成も4月30日で終わりですね。新しい元号が何になるか、興味深いところです。「平成」の元号を発表した小渕さんはもう失くなられましたが、今度も発表する時はあんな感じになるのでしょうか? 新しい元号は「〇〇」ですって感じで。

ニュースで聞く限りでは、新しい元号の発表は、皇太子さまが即位される1ヶ月前の2019年4月1日を予定しているとのことです。 1ヶ月前ってもっと早く発表した方が良いのじゃないか、と個人的に思ってますが議員の方々には、即位する時と同時に発表でもいいと主張している人もいるとかいないとか、立場や考えによって全然違いますよね。

商標の業務を行っている私の興味は発表の前に商標調査をするんだろうか(日本国内はするとして、中国・台湾はどうか?)、とか発表された後に、当該元号を商標出願する人がいるだろうから今度セミナーの資料で使おうとか、中国の人なら、きっと自国で絶対するはず、とか考えるだけで知的好奇心は尽きません。

そんな中、昨年特許庁から元号について商標に関するアナウンスがホームページにのっていました。以下、引用です。

すなわち、現元号を表示する文字のみからなる商標「平成」は、単に現元号として認識されるにすぎないため、商標登録を受けることはできません。改元後、「平成」が旧元号となった場合も同様で、単に旧元号として認識されるにすぎないため、商標登録を受けることはできません。
また、上記のとおり、元号は識別力がないと判断されますので、他の識別力のない文字等(例:商品又は役務の普通名称)を組み合わせた商標(例:平成まんじゅう(指定商品:饅頭))も、識別力はなく、商標登録を受けることはできません。
出典:特許庁HP「元号に関する商標の取扱いについて

「平成」そのものはダメっていうのは皆さんも直感的にわかるのですが「平成まんじゅう」もダメなんですよね。指定商品「まんじゅう」に商標「平成まんじゅう」は識別力なしってことですね。

少し過去の元号も調べてみましょう。いつものように、特許情報プラットフォームで検索していきます。平成、昭和ときたところで、出願商標が見つかりました。

法人のようです。外国人ならわかりますが、日本にも元号を独占しようと試みる人がいるんですねー、残念。これも、2019年1月31日にニュースになった新しい審査基準では登録できいことが明確になりました。なにせ過去の元号も含めて登録不可になるのですから。

4条1項8号・10号・15号・17号・19号以外の拒絶理由は査定(審決)時にその適否を判断することになっています。つまり3条1項6号の判断も査定時に判断する、ということは旧元号や推測して新元号を出願しても元号発表があった後に審査されるでしょうから登録は無理でしょう(早期審査等を駆使しても無理と思います)。

以下、商標法3条1項6号と当該条文の商標審査基準の抜粋です(太字と審査基準のカッコ書きは当サイトにて)。

第3条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
(一から五号 省略)
六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

4.元号を表示する商標について
商標が、元号として認識されるにすぎない場合は、本号(3条1項6号)に該当すると判断する。元号として認識されるにすぎない場合の判断にあたっては、例えば、当該元号が会社の創立時期、商品の製造時期、役務の提供の時期を表示するものとして一般的に用いられていることを考慮する。

出典:商標審査基準14版

例え出願している商標が新元号の漢字の組み合わせで今年の4月1日までに登録査定がおりたラッキーパンチ的なものであっても元号を普通に使う文字列には効力が及びませんからとても使いにくい登録商標になると思いますけどね。商標の第一機能は自分と他人の商品・サービスを識別・区別することにありますから。

By |2019-02-01T16:13:21+09:002月 1st, 2019|