自分の商標がパクられたら?

世の中には不埒(ふらち)な奴がいて、他人が使っている商標を別の業界の商品・サービスを指定して出願する人がいて問題となっています。中国とかだったらそういう輩がいることにも、いかにも」、とか、「さすが」、とか当事者でなければ、あきれていれば良いのですが、日本にそういった人達がいるのは悲しいことです。

そんなことが起こっている中、同業の商標をパクっているのではないかという企業が日本にも現れました(2019年の話しです)。先日ツイッターやテレビのワイドショーでも有名になったスイーツの「ティラミス」ブランド「ヒーローズ」です。

有名タレントやSNSのインフルエンサーを通じて大々的にプロモーションがされました。そのことが功を奏してか?スイーツ好きの日本のみんなから、これは海外ブランドのスイーツ店のパクリでは、、、と炎上していきました。そのパクられたブランドというのがシンガポール郊外にお店をかまえる「The Tiramisu Hero」です。

グーグルの口コミでは320件くらいついています。ネットの評判などで推測する限りでは超人気店!というより地元では知る人ぞ知るスイーツ店なのかなぁと思います。シンガポール在住の知人にも聞いてみましたが「日本のスイーツ店にはもっとおいしいお店がいっぱいある」とのことでした。そのお店が、日本ではデパートや通信販売で大人気!とのこと。商売上手ですね。

2018年の年末に私も商標トラブルに関するツイートを見ましてFF外から失礼してメッセージを送ったりしました。

これですね。
私はこのブランドを知らなかったので、間違ってシンガポールのティラミスヒーローさんの関係会社が出願している商標の公報のことかと聞いてみたのですが、どうやら違ったらしく、誤解を招いてはいけないので現在ではそのツイートは削除しています。

被害を訴えているシンガポールのオリジナルブランドのロゴ(ホワイトバックのもの)とパクった疑いのある登録商標(グレーバックのもの)は以下のようなものです。

SG: Application No.T1307979Iと日本:商願2018-104109

どうですか、似てないという人はいないんじゃないでしょうか?日本の企業がシンガポールのイラストをコピーして改変したと思いますよね。もし、そうなら許せません! そして、上からの命令とは言え、このイラストの出願手続きの準備をさせられた加害者側と疑われる会社の社員さんの気持ちなどを考えるといたたまれません。でも、詳しい事情がわからないので、やっぱり外野でガヤガヤするより、当事者同士の裁判できっちり白黒を付けるのがいいと思います。

私の商標がパクられた、、と思ったときに取れる対策

先ず、「商標登録出願されて悔しい」「私のブランドなのに、、、」と思うようであれば始めから商標登録出願をすることを検討しておきましょう。パクられた後に出願をする方などが、たくさんいらっしゃいますが、商標は早い者勝ち制なのでそのオリジナルブランドネームが全国的・一地方で有名(需要者のあいだに広く認識されている)でなければ審査官も拒絶することができません。ただ、パクり出願でもお金を払っていない場合は最終的には出願は却下されるので、そのような場合は後出しでも勝てる可能性はあります。前置きはこのくらいで、取れる対策ですよね。

相手方の商標が出願中にその事実を知った時

いわゆる情報提供(刊行物提出)ができます。その書面でパクられた商標が自分のものであることを主張しましょう。

相手方の商標が登録された直後にその事実を知った時

登録異議申立てを行いましょう。その手続きのなかで、登録されてしまった商標は自分のブランドはいわゆる公式の登録手続きはしてないけど有名な商標であることや、キャラクターなどの著作権を侵害している等の主張をしましょう(別途、著作権侵害訴訟が必要と思います)。ただ、異議申し立てが出来る期間は登録公報発行から2ヶ月と限られているので、手続きをするための準備は早め早めに行うようにしましょう。

異議申立期間経過後に相手方の商標を知った時

無効審判を請求しましょう。その手続きのなかで異議申立と同様の主張を行います。この審判は利害関係人が請求でき、原則、登録から5年は手続きできますので時間的な余裕は異議申し立てよりもあります。

どうですか、面倒くさいっぽいでしょ。訴訟となると弁護士の出番ですからね、お金もたくさんかかると思いますよ。だから、出願をすればいいんですよ。自分でやれば1万2000円ですよ、5年の登録料だと1万6千400円ですよ。やり方がわからない人は、私やお近くの弁理士に相談することをおススメします。

フードサービスを始める方は費用のことで多分、ちゅうちょするのかなとも思うんですが、キッチンやテーブル・椅子、看板などを準備するお金にくらべたら、そうでもないですよね。

中国ではどうなのか?心配してみる

最後に、パクりと言えば、中国。中国の商標検索サイトで「The tiramisu hero」を検索したところ、現在出願中の商標を見つけました。

出典:中国商標網

もしシンガポールの協力会社でなければ何らかの手立てを検討した方が良いですね。

追記:2019年2月8日
シンガポールのティラミスヒーローさんがオリジナルブランドロゴと言っていたものは実はイギリス出身のイラストレーターの方の作品をパクっていたことがわかりました(著作権法的にいうと依拠していた)。やはり、詳しいことがわからない我々はあまり騒がない方がいいのかもしれません。でもコトが明らかになったのでよかったのでしょうか? ホント著作権には気をつけましょう。でも引用と複製(利用)の線引きがむずかしいんですよねぇー。アメリカだと著作権法107条のフェアユースの規定が動画の視聴の前とかに表記されてるのはよく見かけます、けどね。
著作権に気を付けるため、シンガポール側の商標イメージ画像はシンガポールの知財局・日本側のものは特許情報プラットフォームから引用していますが、シンガポール側のオリジナルロゴはまとめサイトからの画像を使用させて頂きました。当該著作物の利用は時事事件の報道のための利用(著作権法第41条)と認識していますが権利者側で問題と見做される場合はご連絡頂ければ直ちに削除致します。

以下、営業です。
他人の商標をパクるのはいけませんが、素敵なブランドネームはカブることもあります。あなたの思いついたオリジナルなブランドネーム、商標登録して安心してビジネスをしませんか?
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By |2020-05-01T08:21:58+09:001月 30th, 2019|