「令和」商標出願どうなった?(台湾編)

この記事を書いている2020年2月では令和も2年になりました。でも、令和元年は5月1日から始まったので、まだ期間で言えば1年経ってないないですよね。元号が発表されたのが、2019年4月1日だったので、なんかもうちょっと長く令和の時代を生きてる気がします。

商標のお話しをすると、発表時点で「令和」の登録商標は世界で1件だけ中国にありました。それ以降、日本を含めて「新しい元号に乗っかっとけ的な出願」があったワケですが、ちゃんとここで外国の令和商標出願どうなったか確認しておきたいと思います。今回の記事で見ていくのは 台湾 です。

台湾の令和関連の出願は?

前述したように2019年4月1日時点では、台湾において「令和」を含む出願商標・登録商標は0件だったんですが、現在(2019年2月初旬)まででわかっている商標は以下でした(ピックアップ漏れもあるかもしれません、ご了承ください)。なお、台湾の出願商標・登録商標を調べるのには「智慧財産局 商標検索系統」というサイトを利用します。

出典:智慧局商標検索系統より


最速で手続きされたものでも2019年4月2日
(下段最左の令和なので、結構早く出願された印象を受けます(中国では、発表当日の4月1日に何件も出されてましたが、、、)。みなさんご存じの通り商標は早いもの勝ちの原則があるので、同じ業界で同じ・似ている商標を取ろうとすると、原則、一番早く出願したものだけが登録されることになります(台湾の場合は、並存登録制度というものがあるので「原則」という言葉を使いました)。

台湾では「令和」商標は登録NG

台湾でも日本と同様に出願した商標は「これ本当に登録していいネーミング・ロゴデザインなの?」という審査が行われます。そして、台湾で最速の「令和」商標の審査結果も判明しています。結論は、「令和」は登録出来ません、です。

出典:台湾の拒絶理由(出願番号108019992)

上記イメージは、商標検索サイトで見ることが出来る審査官から登録NG通知なのですが、内容を要約すると次の通りです(超意訳です)。

令和って新しく即位した日本の天皇陛下の元号に関係するものだよね? 消費者がそれを見たら今回指定してある商品の製造年月日かな、ぐらいの印象を与えるに過ぎないよね。あと、「令和」は日本の新元号だから一般消費者は日本産のものって誤解する可能性があるよね。なので登録できません。

ということで、元号オンリーの「令和」の商標は台湾では無事に登録されない、という判断がくだされました。めでたし。めでたし。

関連の台湾の商標法の条文は?

以下、興味がある人だけ見ていただければと思います。
今回の記事を書くにあたって、台湾の「令和」のみからなる文字商標の出願の拒絶理由を3件ほど参照したのですが、審査官は違えども、29条1項1号30条1項8号を拒絶の根拠条文として挙げていました。絶対的拒絶理由である識別性なしとの理由及び、相対的拒絶理由である混同誤認の虞との2本立てです。

台湾商標法第29条
次に掲げる、識別性を具えていない情況のいずれかに該当する商標は、登録することができない。
1. 指定した商品又は役務の品質、用途、原料、産地又は関連する特性を描写する説明のみで構成されたもの

台湾商標法第30条
次に掲げる各号のいずれかに該当する商標は、登録することができない。
8. 公衆にその商品又は役務の性質、品質又は産地を誤認、誤信させるおそれがあるもの。

和訳引用:特許庁の諸外国の法令・条例等より

日本では、元号のみからなる商標は3条1項6号で拒絶するよ!とアナウンスがありましたし、審査基準もそのように改定されたので登録されないことは明らかでしたので中国人?の方が出願(商願2019-045854商願2019-045855)していても、あーその出願に係る特許印紙代もったいねー、それがあったら焼肉何回か行けるのに、、とか思ってればよかったですが、外国、しかも同じ漢字圏だと、どうなるのか?と思いましたよね。

といってもまだ、本命?の中国の令和出願はデータベース上ではまだ審査結果がわからないですし、どうなるか心配です。

まとめ

台湾では「令和」単体での商標は登録NGとすることがわかりました。「日本の元号なのに登録商標になるなんて、、、」とモヤモヤすることはなさそうです。また、本文では触れてなかったのですが後からチェックしてみると、日本では登録されるであろう「令和風情の文字と図形の結合商標」の出願も拒絶になっているので、台湾当局は令和を含む登録商標は許さないみたいです。特別な配慮が感じられて、なんか嬉しいですね。

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By |2020-02-09T13:15:25+09:002月 6th, 2020|