商願の審査を早くするには?

商標登録出願をして、審査結果が出るには出願日から10ヶ月~14ヶ月ぐらい(本オリジナル記事執筆時)2023年12月ごろに出願すると、指定商品役務のジャンルにもよりますが6~8ヵ月くらい掛かります。問題がなければ、次のような登録査定(とうろくさていと言って、「審査しましたけど、問題ありませんでしたー」という連絡がきます。

でも、10ヶ月~14ヶ月待ってられない、審査結果を早く知りたいという場合は『当然ある』と思います。もう使ってるとか、他に使いたい人がいてラインセンス契約など結ばないといけない場合等です(特許庁でファストトラック審査という制度が導入されているのでので、この制度についても後半に言及します。)。

早く審査して!そんな時は早期審査請求

そういう時には、「早期審査」制度を使いましょう。
この制度を利用すると、出願に問題がない場合には登録までが、2~3ヶ月になります

普通の審査がカメだとしたら、早期審査はウサギのスピードといったところでしょうか。寓話や上記イラストでは、カメの方が早そうですが、実際は、ウサギの速さはダンチです。手続きとして具体的には、「早期審査に関する事情説明書」を特許庁長官宛てに提出することになります。

この制度を申請することには、お金がかかりません。電子化手数料もかかりません。しかし、みんなが待ってる順番を飛ばして審査してもらうことになるので、いろいろ条件があります。

商標を使っていたら第1条件はクリア

早く審査してもらうための条件・パターンは3つあります。ざっくり、その1:商標使ってて、急いで審査してもらう事情がある、その2:指定商品役務の全てについて既に使っている、その3:一部の商品役務に商標を使ってて、指定商品役務の記載が特許庁の基準を満たしていること、です。

特許庁「商標早期審査・早期審理ガイドライン」より

複数の商品役務を指定していない出願以外で、一番認められやすいと思われるものはパターン3です(上の図では対象3と記載のもの)。しかし、願書の記載が特許庁の基準を満たしていなければならないので、早く権利が欲しいな、、と思っている方は、出願時(願書作成時)から気を付けておくと良いでしょう。出願後にも補正(ほせい)することで条件を満たすことは可能ですが、インターネット経由(出願ソフト)で書面を提出しない場合は、特許庁がスムーズに業務が出来るように補正をするタイミングは早期審査請求の前、又は請求と同じタイミングで書類を郵送するようにしましょう。

条件や書類の書き方についてもっと詳しく知りたい方は、特許庁の該当ページを見て頂けると幸いです。
特許庁:商標早期審査・早期審理の概要へのリンク

既に出願しており代理人にお任せしている方で、早期審査を望む事情がある場合は、弁理士の先生方などに、その旨、伝えてあげてください。早期審査に係る事務所手数料は、おおむね2万~3万円くらいのようです(ウチは2.5万円、税別)。

ファストトラック審査

2020年2月1日の出願からファストトラック審査が正式に運用開始されました(注:2023年4月1日の出願からは対象外となっています、令和4年度をもって休止となったため 以下、参考情報としてお読みください)。英語で書けば Fast trackですね。直訳すると早い線路、といったところでしょうか。Fast track自体で、急行用列車走路とかの意味もあるみたいです。

日本の制度なので、カタカナで言うなよ、、という感じですが審査を早くする制度として既に「早期審査」があるので、それと区別するために英語を使ったんでしょうか、、、。 ファスト〇ス、、は千葉県にあるネズミの国のアトラクションを並ばなくてもスグ乗れる券ですが、商標のファストトラックに乗ると他の複雑な審査待ちの案件をすっとばして6ヶ月ぐらいで審査してくれます。

FT審査に手続きは不要・条件満たせば自動で

どのような出願が対象かというと、(1)と(2)の条件を満たす出願となります。

(1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、「商標法施行規則」又は「ニース分類表に掲載の商品・役務」のみを指定している商標登録出願
(2)審査着手時までに指定商品・指定役務の補正を行っていない商標登録出願

この制度を利用するのに、申請や手数料を必要なく、条件を満たす出願であれば、勝手にファストトラックに乗って降りることは無理です。審査をゆっくりして欲しい人はあまりいないと思いますがファストトラックに乗りたくなかったら、「審査において採用された商品・役務名」を願書に記載すればいいですね。以下、記載例。

第43類の例
飲食物の提供」←FT審査対象
居酒屋における飲食物の提供」←FT審査から外れる

早く商標登録をしたい人は特許庁や弁理士さん等に、「ファストパス、、、じゃなくてファストラック審査というものがあると聞いたんですが、、、」と質問してみましょう。

まとめ

今回の記事は早期審査制度とファストトラック審査制度について確認しました。条件を満たしているのに制度を活用しないのは勿体ないので使える方は是非利用してください。

以下、営業です。
早期審査請求を活用して早く権利化して安心して商標を使いたいですか?
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By |2023-12-14T16:48:12+09:006月 22nd, 2020|