今日は、不使用取消審判について説明します。

これは、簡単に言うと、商標は自己の使用する商標について登録を認めるものだから、使っていない場合は、登録を取り消されることがあるよ、という制度です。

使ってない期間って言ってもどのくらい使ってなかったら取り消される可能性があるのか、と言いますと「3年」です。 長いでしょうか、短いでしょうか?

まぁ、3年使ってない場合は、業務を停止していたり、辞めてたりしている場合もあるでしょうし、登録して3年も使わない場合は、もっと出願・登録するのを遅くした方がいいよね。ということです(先願主義の観点から、早めに出願するのが良いのはあるのですが、、、)。

それで、取り消されるってどういう手続きで取り消されるのかというと、そこが「審判」という制度に委ねられます。 審判という制度は、審判官という、審査官よりちょっと給料の良い人(多分、良いハズ)があたることになっており、使ってないかどうか判断します。

この不使用取消審判は、誰でも請求することができるのですが、使ったことがあるかどうかは、請求された側の商標権者が証明することになっています。 「ない」ことの証明は悪魔の証明で、事実上不可能ですもんね。

不使用取消審判で争われた事例を見てみる

制度の概要がわかったところで、実際に不使用取消審判で争われた事例を見てみましょう。

2018年初夏に商品名を変更することで話題となった愛知のメーカーである小笠原製粉さんの「キリンラーメン」に係る事件です。

ビールのメーカーとして有名なキリンビールさんですが、とても大きな会社なのでビールの区分の32類だけでなく他の区分についても「KIRIN」の登録商標を持っていました。

そして、区分的には「キリンラーメン」の即席めん(類似群コード:32F03)とカブる第30類の商品(穀物の加工品:32F03)等を指定する商標登録4180368号も所有していました。

一方、小笠原製粉さんは、一時生産中止(ウィキペディアによると7年くらい)があったことも原因なのか、袋麺のキリンラーメンのネーミングの商標登録を目指すべく?キリンビールさんの持っている登録商標について、不使用取消し審判をかけました

しかし、キリンビールさんの関連会社であるキリン共和フーズさんが、正当な契約に基づいて穀物の加工商品に該当する「きのこがゆ」について商品パンフレット・カタログ・登録商標に似た商標を使用していたため、小笠原製粉さんの請求は認められませんでした。

小笠原製粉さんは、使用された商標(KIRIN Plus-i)が登録商標と社会通念上同一ではないのでは、とも主張したのですが、認められませんでした。

どうですか?
なんとなく、不使用取消審判のイメージがわいてきたでしょうか?

関連する商標法の条文は?

法律の条文上では、上記の審判は、商標登録の取り消し審判としていますが、この記事のタイトル通り「不使用取消審判」と呼ぶことが多いと思います。

関係条文は、下記の通りです(強調・下線は当サイトにて)。

(商標登録の取消しの審判)
第50条 継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。
2 前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。
3 第一項の審判の請求前三月からその審判の請求の登録の日までの間に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をした場合であつて、その登録商標の使用がその審判の請求がされることを知つた後であることを請求人が証明したときは、その登録商標の使用は第一項に規定する登録商標の使用に該当しないものとする。ただし、その登録商標の使用をしたことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。

1項のとこカッコ書きがあって、読みにくいのですが、ここは、登録商標と完全に一致していないとその登録商標の使用にならないかというと、そういう話しではなく、社会通念上同一と認められる場合は、その商標も登録商標の使用とするよ、という話が書かれています。

細かく見ると、商標の使用は、日本でないとダメだよーとか、ライセンシーの使用でもオッケーだよとか、請求される前3ヶ月の使用は、使用とは認めないよーとかあるんですが、ここでは深く見ません。


まとめ

商標はビジネスで使用するマークのなので使わないマークは厳密には商標とは言えません。将来の為にたくさんの商品・サービスを指定して出願・登録する場合は、使わない場合のリスク【不使用取消審判で一部又は全部の商品・役務に係る権利を喪失する可能性】も理解しておきましょう。

以下、営業です。
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By |2019-07-12T15:30:06+09:001月 19th, 2019|
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