防護標章とは?

商標の雑学として有名なのが、フジテレビの番組「トリビアの泉」でも取り上げられた「GショックのカシオはAショックからZショックまで商標登録している」です。
「Gショック」はカシオ計算機株式会社の時計のブランド名ですが、とても人気のある商品です。 カシオさんの2017年9月のニュースリリースでは、1983年4月に耐衝撃ウオッチとして“G-SHOCK”の販売を開始してから世界累計出荷が2017年8月末に1億個を達成した、とのことです。 スゴイですね。

「A-SHOCK」から「Z-SHOCK」はカシオの登録商標

しかし、人気がでると模倣品がでてくるのも世の常。その為、「A-SHOCK」から「Z-SHOCK」を出願・登録しているのです。企業の知財戦略ってやつですね。

念の為、「特許情報プラットフォーム」で調べてみました。

出典:特許情報プラットフォーム

たしかにA~Zまで出てきました。全部画像を貼ろうかと思ったのですが、画像ばっかりの記事になっちゃうので、割愛します。興味のある方はチェックしてみてください。
出願日「20030811」「?ショック」等でAND検索をかけると、当該商品だけ絞れて結果表示されるので、おススメです。

非類似商品・役務の混同を保護する防護標章

話しを戻しまして、有名なブランドになるとマネする人たちがたくさんでてきてしまいます。「G-SHOCK」の場合は、A~Zまで商標登録する、ということを行っていますが、有名なブランド名が全く別の商品・サービスに使われてしまったらどうでしょうか?

商標制度は、そういう、まぎらわしくないジャンルにも有名なブランド名が保護されるように防護標章という制度があります。有名なブランド名を違う商品・サービスで登録して、もしその商品等で使われたら、その使用を排除できるようにしています。

有名なブランドというところがポイントで、あまり知られていないようなブランド名だと、「あ、あのブランド名と一緒だ、あそこの会社、あの商品だけでなく、この商品も同じブランド名でだしたのかな、、買ってみよう。」とかならいので、防護標章では保護されません。

「G-SHOCK」は他区分でのカシオの登録防護標章でもある

論より、証拠ということで、防護標章のサンプルを。

出典:特許情報プラットフォーム

これも、カシオの「G-SHOCK」の登録なのですが、赤丸で囲んだところに「防護」とあるのが見つけられたでしょうか? そして、指定している区分は食品関係の「30類」で商品は「コーヒー及びココア」などなど、時計とは全くジャンルの違うものばかりです。

例として、30類を紹介しましたが、他の区分・商品でもカシオさんは、「G-SHOCK」を防護標章登録しています。時間があれば、調べてみても面白いです。

こうやって、使用によって信用を獲得した有名なブランド名を、他人が同じブランド名を使って商売しないように守っているのですね。それで防護する標章ということで、防護標章といっています。 なぜ、商標と言わないかというと、この登録は、自分で、コーヒー等に使ったりしないので、商標ではなく標章なんです(商標の定義はコチラで確認)。

関連する商標法の条文は?

法律でチェックしたい方のために、関連する商標法の条文を貼っておきますね。

(防護標章登録の要件)
第64条 商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。

ページトップの画像は防護標章ということで、防護服を「いらすとや」さんから使わせていただきました。防護標章についてなんとなく分かっていただけたでしょうか?

以下、営業です。
有名ブランドもはじめは普通のトレードマークでした。
あなたのブランドも先ず登録して登録商標にしませんか?
セージ弁理士事務所は初めて特許庁に手続きされる方には直接面談・オンライン面談にてお客様の要望を聞いてから手続きします。お問い合わせはコチラから。

By |2020-09-16T10:13:44+09:001月 25th, 2019|