商標を自分で出願する、又は専門家に相談・問合せをする際に覚えておきたい言葉があります。
それは「指定商品・指定役務(していえきむ)」と「区分」です。

指定商品(役務)とは?

商品は、物品を作ったり売ったりする場合はそのアイテムと理解できるけど、役務って?、そんな日本語知らない、、と思われるかもしれません。この役務という言葉はそのまま、「サービス」という単語に置き換えてもらって良いです。

商標について決めている法律に商標法というのがあるのですが、ここに、商標の定義として「業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」(商標法2条1項2号)とガッツリ書かれているので、役務という難しい言葉が使用されています。ここに、サービスって書いていたら、指定サービスになるんですが法律は日本語で書かれているので仕方がありません。

指定商品とは、願書に商標をどの商品に使うか指定する。

それで、商標権を発生させるには特許庁長官に対して先ず商標登録出願をしなければなりません。これは、私(私の会社)はこの商標を使いますので審査して登録してくださいという意思を表すのです。その意思表示をする際、「私は、この商標を使います!」と書面でする時、じゃあそのマークを何に使うのか?ということも一緒に指定しないといけません。でました「指定」です。

定食屋を始めようと思ったら指定役務は「飲食物の提供」を!

そこで、例えば、私は定食屋さんで、その商標を使います、となると願書の【指定商品・指定役務】として、「飲食物の提供」と記載します。

ちなみに、指定商品・指定役務は英語では、Designated goods・Designated servicesというのですが、デザグネイテッドヒッター(DH)のデザグネイテッドです。野球風にいうと、指定商品・指定役務は、指名商品・指名役務ですね。

区分とは何か?

指定商品・指定役務がわかったところで、商標出願する際に記載しなければいけない「区分」について書いていこうと思います。「区分」(英語では class ですが、、)という言葉を聞いてどんなことを想像するでしょうか? くぶん、くぶん、くぶん、何かの整理分け、区画とかそんな感じと思われた方、そうです。その通りです。

商標の区分は1から45まで

商標は、この世のビジネスのあらゆる商品・サービスに使われているわけですが、何らかのジャンル分けがされてないと登録する方もわけわからないことになると思います。そこで、商標の世界では第1から第45までのクラスに分けて商品・サービスを整理しています。

商品の区分は1から34まで

商標権を取得すれば、その権利範囲は、北は北海道から、南は沖縄まで全国まで及ぶわけですが、日本を一つのビルと仮定した場合、1階には、化学品とか作っている人が商売を行っているイメージをしてください。2階には染料・顔料など、3階には化粧品など、4階には燃料(ガソリン)など、5階には薬品などなど、、、とこれが、34階までは商品を作っている人が住んでいるイメージです。

役務の区分は35から45まで

35階からはサービス業の人が住んでいて、35階が小売りをしている、いわゆるショップを開設している人が住んでいて、37階に建設工事を行っている人、38階に放送(テレビ・ラジオ)の人、って感じで45階までいろいろなビジネスに係る人住んでいる感じです。

これを商標出願する時に、願書に記載します。上の方で書いた飲食の提供の場合だと43類と書きます。

実際の公報で見てみよう

テキストだけでは分かりにくいので、公報と呼ばれる実際に商標登録出願して、登録された商標をアナウンスしている文書で区分を見てみましょう。

今回、参考にさせていただくのは、群馬県のゆるキャラであるぐんまちゃんです。
「ぐんまちゃん」は、群馬県の商標または登録商標です。

上記の第9類、第14類など、数字が書いてあるのが区分です(赤線は当サイトにて)。その後ろに続くのが指定商品になります。

たくさんの商品に使う予定がある場合は、この登録のようにたくさんの区分をして指定して出願・登録することになります。

日本は、一つの出願にたくさんの区分を指定して商標申請できる「一出願多区分制(いちしゅつがんたくぶんせい)」を採用しているのですが、たくさんの区分を指定するということは、世の中のたくさんの登録商標と似る可能性もあるということで、大企業では、同じ日に一つの区分を指定した出願を区分の数だけする場合があります。こうして、拒絶理由通知をもらった場合でも、登録できるものから先に、登録し、安心して使用することができるんですね。

関連する商標法の条文は?

(一商標一出願)
条 商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。
2 前項の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従つてしなければならない。
3 前項の商品及び役務の区分は、商品又は役務の類似の範囲を定めるものではない。

以下、営業です。
指定商品・役務がわかったので、いよいよ出願ですね。自分でやる方以外はお近くの弁理士か、わたくしにお願いするのがおススメです(新型ウィルスの影響でオンライン面談も通常になったので私も候補に入るかと、、、)。セージ弁理士事務所は初めて特許庁に手続きされる方には直接面談・オンライン面談にてお客様の要望を聞いてから手続きします。お問い合わせはコチラから。

By |2024-01-23T16:47:34+09:001月 4th, 2019|