登録異議の申立てとは?

アイキャッチ画像はパクタソさんの素材「実力不足で毎回逆転できない弁護士」です。
画像のファイル名には「igiari」とありましたので文字はこちらで追加しました。
このフレーズで思い出すのは「逆転裁判」です。

ゲームにもいろいろジャンルがありますが裁判モノとは着眼点がいいですね。
主役の成歩堂(なるほどう)君が裁判中に発する「異議あり!」の言葉はカッコイイです。

ちなみに英語版では「Objection!」って言ってます。
英語を勉強している方は逆転裁判の英語モードでプレイおすすめです。

その登録ちょっと待ったと思ったら異議あり!とアクションを

ということで今回の記事は、「登録異議申し立て」の紹介です。
商標は、出願して、審査されて、登録されて初めて、公に認められた権利となります。

審査されるということは、問題のある商標は登録されないということです。
どういった問題があると登録されないかというと、指定商品(役務)との関係からまったく識別力がないと思われるもの(3条関係)と、世の中にある先行する標章や商標等との対比から登録を認めてはいけないような商標です(4条関係)。

それらを審査しているのが特許庁の審査官なのですが、審査官も人の子、間違ってしまうことがあるのです。 間違って、本当は問題のある商標を登録してしまうことがあるのです。

そういう時に、こういう商標が登録されたましたよーって世間一般に知らせるために公報と呼ばれる登録リストが発行されているのですが、その公報の発行から2ヶ月間は、みんなに見てもらってクレームがある場合は、特許庁長官宛てに申し立ててください、というのが異議申立て制度の概要です。

異議申立てが認められた事例を見てみる

制度の概要がわかったところで、実際に異議申立てが認められた事例を見てみましょう。

第18類と第25類の指定商品は、まだ続きますが割愛します(詳細はココで確認)。

上記の商標は、登録商標となりましたが、異議申し立てがされ、その申立てが認められたことにより取消しとなりました。 一体どんな理由で取消しとなったか分るでしょうか?

馬が跳ねているようなロゴと、英語ではないけど横文字が使われています。
車に少しでも興味がある方であれば、「跳ね馬」と言えばある世界的に超有名なブランドを想起するのではないでしょうか?

そうです、フェラーリです。
このようなロゴを登録商標として使われたら、ムムム、と思ってしまいますよね。
また、英語ではない横文字も実はイタリア語で「カヴァッリーノ・ランパンテ」という読みで、フェラーリのシンボル「跳ね馬」を表しているんです。

もう、フェラーリそのまんまじゃん!
フェラーリの信用に乗っかって商売しようとしてるんじゃん!って感じですが、この登録を見つけたイタリア法人フェラーリ・ソシエタ・ペル・アチオニは、4条1項19号(↓補足情報参照↓)などの理由を申立て、審査官の合議体も「そうだね。フェラーリのブランドに似た商標を不正の目的をもって登録しようとしてるね。」といって登録を取消しました。

第4条 次に掲げる商標については(中略)商標登録を受けることができない。
十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

まぁ、当然ですよね。
感覚的に、「それマズイんじゃ、、」という商標は登録されても取り消される可能性があるので、そんな商標はj自分のブランドとして採用しないことです。
商売には信用が大事ですが、そういう商標を採用すること自体が問題ですもんね。

関連する商標法の条文は?

最後に異議申立てに関連する条文を見ておきましょう。

(登録異議の申立て)
第43条の2 何人も、商標掲載公報の発行の日から2月以内に限り、特許庁長官に、商標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立てをすることができる。この場合において、二以上の指定商品又は指定役務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申立てをすることができる。
一 その商標登録が第3条、第4条第1項、第7条の2第1項、第8条第1項、第2項若しくは第5項、第51条第2項(第52条の2第2項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条の規定に違反してされたこと。
二 その商標登録が条約に違反してされたこと。
三 その商標登録が第五条第五項に規定する要件を満たしていない商標登録出願に対してされたこと。

正確には43条の2から43条の15まであるので、詳しく読みたい方は商標法の条文にあたってください。
ということで、もし異議ありっ!の登録商標を見つけたらあなたを代理して手続きします。
セージ弁理士事務所は初めて特許庁に手続きされる方には直接面談・オンライン面談にてお客様の要望を聞いてから手続きします。お問い合わせはコチラから。

By |2023-07-12T13:29:02+09:001月 18th, 2019|