類似群コードとは?

商標は、この世のすべてを区分で整理していると「指定商品(役務)と区分とは?」の記事に書きましたが、実際の出願の審査や権利侵害の問題を考えるときには類似群コードという商品・サービスに付与されたコードを理解していると良いでしょう。

類似群コードとは、商品・役務を整理する5桁のコード

類似群コードというのは、特許庁が付与した5桁のコードで以下のようなものです。
商標の世界では「ビール」は第32類に、「ぶどう酒」は第33類に属します。
32と33なので、同じ区分ではないのですが、

商品:「ビール」  類似群コード:28A02
商品:「ぶどう酒」 類似群コード:28A02

のように、特許庁から付与されたコードは同じです。

このコードが同じものは、原則、類似する商品やサービスと考えましょうというものです。
商標権は、商標と商品(サービス)とセットとして考えるものです。

帰りにマッキントッシュ買ってきてね

「マッキントッシュ」という登録商標があるのですが、これは、パソコンのブランドだったり、アパレルのブランドだったりします(上記イメージはリンゴとパソコンですが、、)。 同じ商標が登録されているのは、区分が違うから、というのもあるんですが、その商品が似ていないから、買う人が間違って買ったりしないということ等からなのです。

逆に、上記のぶどう酒(ワイン)やビールは似ている商品ということになっています。
なんで似ているかというと、アルコールだし、同じような所に売ってるからだったりします。
特許庁のホームページには、この似ているか・似ていないかの基準について次のように記載しています。

出願された商標の指定商品又は指定役務と他人の登録商標の指定商品又は指定役務との類否を「類似商品・役務審査基準」に基づいて判断しています。
この「類似商品・役務審査基準」は、生産部門、販売部門、原材料、品質等において共通性を有する商品、又は、提供手段、目的若しくは提供場所等において共通性を有する役務をグルーピングし、同じグループに属する商品群又は役務群は、原則として、類似する商品又は役務であると推定するものとしています。

区分違う 類似する商品(役務)(区分相違類似群コード同一)

さっき挙げたビールとワインはふたつとも商品でしたが、商品とサービスのあいだでも同じ類似群コードというのが存在します。

商品:「ジャケット」
区分:25類
類似群コード: 17A01

役務:「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
区分:35類
類似群コード:17A01 17A02 17A03 17A04 17A07 35K02

このコードは、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で調べることが出来ます。
一緒に見ていきましょう。

類似群コードを調べてみる

先ず、J-PlatPatの「商品・役務名検索」に行きます。
「商品・役務名」の欄に、あなたが使用予定の商品・サービスの名称を入力し、「検索」ボタンを押しましょう。

今回は、ハンドメイドのチャームを作って売ることを仮定して、「チャーム」と入力します。

検索ボタンを押してページ下部に出てきたリストは、左から「No.」「区分」「出願番号/国際登録番号」「商品・役務名(日本語)」「商品・役務名(英語)」「類似群コード」と並んでいます。

今回知りたいのは、「チャーム」の類似群なので、一番右端のコードを読み取ります。
抜粋してみると次の通りでした。

キーホルダー用チャーム 13C02
ネックレス用チャーム 21A02
ブレスレット用チャーム 21A02
貴金属製あるいは貴金属を被膜した宝飾品用チャーム 21A02 21B01 21D01
宝飾品用チャーム 21A02 21B01 21D01
チャーム(宝飾品、キーホルダー用のものを除く。) 21A02 21A03 21B01

そして、「チャーム」といっても、用途によって類似群コードが違うことがわかりました。

抜粋しているのは、類似群コードだけですが実際に出願する際には「区分」を指定して出願しなければならないので、基本は第14類を指定することがわかりました。

あまり多くの商品等を指定すると審査官から連絡がある

最後に、たくさんの指定商品・役務を指定して出願すると拒絶理由通知と呼ばれる連絡くるのでその事について触れておきます。どういった内容かといいますと、審査官からの「このままだと審査不合格だよ」と伝えてくるものです。

特許庁の審査官は、ある一定のマニュアルに従って出願内容を審査しているのですが、そのマニュアルが審査基準審査便覧と呼ばれるものです。

そして、これは審査便覧に掛かれているのですが、例えばこんな記載があります(太字強調は当サイトにて)。

商標審査基準第1二、2.(3)
(イ) (ア)を除く商品・役務の全般について
1区分内での商品又は役務の指定が広い範囲に及んでいる場合。
【取扱い】
原則として、1区分内において、23以上の類似群コード(以下「類
似群」という。)にわたる商品又は役務を指定している場合には、商品
又は役務の指定が広い範囲に及んでいるため、指定商品又は指定役務に
ついて商標の使用及び使用の意思があることに疑義があるものとして、
商標の使用又は使用の意思の確認を行う
ただし、(以下略)

引用(pdf):商標の使用又は商標の使用の意思を確認するための審査に関する運用について

冒頭部分を見るとなんのことかな、、という感じなのですが、これは一般的な商品・役務を指定して出願する場合に、この記事前半で説明した類似群コードの数が23以上ある場合は、審査官が「ちょっと待って、本当にこんなにたくさんの商品・サービスに使うつもりなの!?」と審査合格に待ったをかける、というものです。

この連絡を受けたらからと言っても、いきなり審査不合格となるわけではなく、審査官の連絡で言及された書面などを提出すればオッケーだったりするので、本当に事業を手広くする予定であれば、たくさん指定しても大丈夫です。また、この「たくさん指定する」以外にも審査で問題となる、即ち拒絶理由通知が出される原因はありますので、それは別の記事で書きたいと思います。

そういうわけで、類似群コードについてなんとなく分かっていただけたでしょうか?

以下、営業です。
あなたのトレードマークも登録して登録商標にしませんか?
セージ弁理士事務所は初めて特許庁に手続きされる方には直接面談・オンライン面談にてお客様の要望を聞いてから手続きします。お問い合わせはコチラから。

By |2020-05-23T11:34:17+09:001月 21st, 2019|