血液クレンジングで学ぶ類似群コード

血液クレンジングというサービスが流行っているそうです(2019年の秋頃この記事書きました)。芸能人の方が健康や美容のために行っているという話題に接しました。わたし的に馴染みのないサービスだったので、商標登録されているのかな? 医療行為だろうから44類だろうな、、と思ったら商標登録されていました。しかも、「血液クレンジング」という登録商標が別々の人(法人)に2つ登録されていました。どうして、こういうことが起こるか、理解するポイントは類似群コードにあります。

同一区分でもコードが違えば併存登録可

日本の商標を検索する場合は、特許情報プラットフォームという公式サイトで調べるのですが「血液クレンジング」で検索すると2件ヒットします。一つは伊藤さんの商標、そしてもう一つは株式会社ファインエイジングさんです。

出典:特許情報プラットフォーム

どちらも44類は指定して登録しています。区分が同じ場合、似ている商標は登録されないと誤解されている方もいるかもしれませんが、それは違います。区分はあくまで、この世の商品・サービスを整理するための区分けであって、最終的な特許庁の判断は類似群コードと呼ばれる5桁の文字列によって決定されます。

医療行為と美容行為は非類似 

それぞれの「血液クレンジング」がどんなサービスに関する登録商標なのか確認しましょう。先ずは、伊藤さん(医療法人財団健康院)のから。指定役務はアンチエイジング医業,アンチエイジング医療情報の提供  となっています。アンチエイジングですが、ヒトに対して使用した場合は「老化・加齢に対抗する」といった意味合いですので、そのサービスを受けていると、いつまでも若々しくいられるといったところでしょうか。

もう一つのファインエイジングさんの指定役務は44類に限定して紹介すると 美容,栄養の指導 となっています。ということは、このサービスを受けると美しく・若々しくいられるというイメージかな。

どっちの説明にも若々しくという言葉を使ってしまったので、似ているサービスと思われるかもしれませんが、特許庁の割り振ったコードだと、前者「42V02」、後者「42C01 42V03」と近いけどカブッテないんですよね。それで、似てないとされて、どちらの血液クレンジング商標も登録されることになった、というわけです。

登録後の管理は難しい!?

どちらが先に登録したかと言えば、医療行為の方が先に登録されています。こちらを出願する時に、美容等を指定したり、その他の区分16類の出版物などや、41類のセミナー等も指定して登録していれば、この2つの登録が併存することはなかったのかな、と思います。しかし、商標の大原則は、自己の使用する商品・サービスについて権利化するものなので、美容行為や書籍などに使う予定がなかったので正直に手続きしたのでしょう。好感が持てますが、ビジネス的にはもう少しズル賢こくなっても良かったかもしれません。

権利化後も、商標権を侵害している等のクレームもしなかったのでしょう、芸能ニュースでも取り上げられていることを考慮すると、血液クレンジングというサービスは、血液に対するオゾン処理を行う一般名称のようになっているようです。

市川海老蔵、血液クレンジング報道に反論「やめれー」「勧めた事はない」

血液を抜いて、オゾンを加えた後に再び体内へ戻す「血液クレンジング」と呼ばれる治療法。
クリニックによっては、老化防止や疲労回復、がんやHIVなどの病気にも効果があると効果をうたっており、SNSやブログで体験記を投稿する芸能人も少なくない。(後略)

https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/ebizo

商標本来の役割から考えると、医療行為で「血液クレンジング」のサービス名を謳って、当該サービスを提供できるのは医療法人財団健康院さんだけですし、美容行為だとファインエイジングさんだけなんです。

しかし、芸能人のみなさんがSNSで血液クレンジング受けたよってアップしているのは、両者のとこだけじゃないみたいなんですよね。 ネットで検索してもたくさんの機関でヒットしますし、使用許諾などのラインセンスを結んでない気もするんですが、どうなんでしょう。 しっかり、管理しないとあるサービスがそのサービスを表すサービス名称として一般化してしまいますので、管理は難しいです。

以下、営業です。
自分の始めたサービス名称を商標登録をしたいと思っていますか? 取消審判のリスクを承知のうえで、広く指定役務を押さえることも商標戦略の一つです。セージ弁理士事務所は初めて特許庁に手続きされる方には直接面談・オンライン面談にてお客様の要望を聞いてから手続きします。お問い合わせはコチラから。

By |2021-10-17T10:01:28+09:0010月 22nd, 2019|