出典:スウェーデンの商標データベース(PRV Swedish Trademark Database)

グレタさんが自分の名前を商標登録!?

2020年1月末、スウェーデンの環境活動家のグレタさんが自身の名前を商標登録することをインスタグラムで発表しました。ニュース報道によると自分のなりすましが商売をしようとしたりして困っている、とのことです。

今回の商標登録の意図を彼女のインスタグラムから読み取ってみましょう。

この投稿をInstagramで見る

Greta Thunberg(@gretathunberg)がシェアした投稿

以下、彼女の発信をグーグル先生に翻訳した日本語です。原文中段のnot in line with what the movement stands for のところが先生の翻訳では「ちょっと何いってるかわからない」状態でしたのでそこを修正しただけで、あとは日本語的に不自然なところもあると思いますが大体意味がわかると思うのでそのままにしています。

詐欺師、商標、商業的利益、ロイヤルティ、財団…最初に:残念ながら、有名人、政治家、メディア、アーティストなどと通信するために、私になりすましている、または「代理」と偽って主張している人がいます。これが起こっていることに注意してください、そして、あなたが「私」または彼らが私を「代表する」と言っている人に連絡されるならば、非常に疑わしいです。
私は、この種の振る舞いによって連絡を取り、さらには誤解された人に謝罪します。
2番目:私の名前と#FridaysForFutureムーブメントは、同意なしに常に商業目的で使用されています。これは、たとえば、マーケティング、製品の販売、および私の名前でムーブメントを収集している人々で起こります。
だから、私は自分の名前、Fridays For Future、Skolstrejkförklimatetなどを商標として登録するよう申請しました。このアクションは、ムーブメントとその活動を保護することです。また、私の無料の法的支援が、私と運動を、運動の目指すべきものと一致しない目的で使用しようとしている人々や企業などに対して必要な行動を取るために必要です。私と他の学校のストライカーは商標に全く興味がないことを保証します。しかし、残念ながらそれを行う必要があります。
未来の金曜日は、私が設立した世界的な運動です。それはそれに参加している人、とりわけ若者に属します。個人用または商用目的で使用することはできません。

そして第三に、家族と一緒に財団を設立します。既に登録され、存在していますが、まだ稼働していません。これはもちろん厳密に非営利であり、慈善活動には関心がありません。これは、完全に透明な方法でお金(書籍のロイヤリティ、寄付、賞金など)を処理するために必要なものです。たとえば、特定の目的や慈善団体に寄付する前に、税金を支払う必要があります。これには多くの時間と作業が必要です。基盤が完全に稼働したら、さらに詳しく説明します。
財団の目的は、精神的健康だけでなく、生態学的、気候的、社会的持続可能性を促進することです。
ラブ/グレタ

JK環境活動家と書くとコレじゃない感あるね

最近ドラマにもなった「女子高生の無駄遣い」ですが、みなさんご覧になったことあるでしょうか。自分はアニメ版のをちょっと前に見たのですが、田中役の人の演技がうまいのか非常にバカな感じが出ててとてもおもしろかったです。ところで、グレタさんもこの記事を書いている時点では女子高生なんですよね。ウィキペディアによると、彼女は15歳の時に、「気候のための学校ストライキ(スウェーデン語:SKOLSTREJK FÖR KLIMATET)」という看板を掲げて環境保護のために立ち上がったそうです。そして、去年(2019年)にはアメリカの有名な雑誌の表紙をかざったり、国連でスピーチもされています。スゴいですね。

Greta Thunbergブランドはどんなもの?

前置きが長くなってしまいましたが、グレタ・トゥーンベリはどんなブランドなのでしょうか?これは、商標登録手続きをする際に、お役所に「こんなモノ・コトでビジネス展開する予定です」とお願いしているので当該情報から詳細を見てみましょう。

グレタさんの財団は3つのブランド名(Greta Thunberg、FRIDAYS FOR FUTUREとSKOLSTREJK FÖR KLIMATET)をヨーロッパの特許庁にあたる機関に登録手続きしています。ここでは彼女の名前のグレタ・トゥーンベリの指定役務を見てみましょう(トップイメージの出願です)。

ちなみに指定役務とは、こんなサービスにブランドマークを掲げてビジネスをするよ、と登録手続きの際に書面に書いたサービスです。以下、プラスボタンを押して詳細をチェックしてみてください。

35類の商品(和訳)
広告; ビジネス管理; 経営管理; オフィス機能; 広告、マーケティング、プロモーションサービス; 環境問題およびイニシアチブの一般の認識を促進する広告およびその他のサービス;  環境問題に対する一般の認識を促進する広告サービス;  持続可能な気候、持続可能な社会コミュニティ、良好な環境、生物多様性の保全、人権および動物の権利の問題を促進するための広告およびその他のサービス;  温室効果ガスの排出と人間による地球温暖化の調査、説明、対策、または削減のための実践的な対策、科学的研究およびイニシアチブを促進する広告およびその他のサービス

Class 35(original)
Advertising; Business management; Business administration; Office functions; Advertising, marketing and promotional services; Advertising and other services to promote public awareness of environmental issues and initiatives; Advertising services to promote public awareness of environmental matter; Advertising and other services to promote a sustainable climate, a sustainable social community, a good environment, biodiversity conservation, human rights and animal right issues; Advertising and other services to promote practical measures, scientific research and initiatives to investigate, explain, counter or reduce human emissions of greenhouse gases and global warming caused by humans.

36類の商品(和訳)
保険; 財務; 金融問題; 不動産業務; 資金調達と財政的スポンサーシップ; 環境問題とイニシアチブの一般の認識の促進に関連する慈善募金サービスの提供; 気候問題、メンタルヘルス、良好な環境、生物多様性、人権または動物の権利の問題の進展を促進するための助成金および奨学金の組織および個人への配布

Class 36 (original)
Insurance; Financial affairs; Monetary affairs; Real estate affairs; Fundraising and financial sponsorship; Provision of charitable fundraising services in relation to the promotion of public awareness of environmental issues and initiatives; Distribution of grants and scholarships to organizations and individuals for promoting progress in the climate issue, mental health, good environment, biodiversity, human rights or animal rights issues.

41類のサービス(和訳)
教育; トレーニングの提供; エンターテイメント; スポーツおよび文化活動;  パブリシティとレポート;  翻訳と通訳; 自然保護と環境に関する教育と訓練; 教育および指導サービス; 環境問題とイニシアチブに関連する会議、展示会、競技会の組織; 気候問題、メンタルヘルス、良好な環境、生物多様性、人権または動物の権利の問題の進展を促進するための組織および個人への賞の配布

Class 41 (original)
Education; Providing of training; Entertainment; Sporting and cultural activities; Publishing and reporting; Translation and interpretation; Education and training relating to nature conservation and the environment; Education and instruction services; Organization of conferences, exhibitions and competitions in the relation to environmental issues and initiatives; Distribution of awards to organizations and individuals for promoting progress in the climate issue, mental health, good environment, biodiversity, human rights or animal rights issues.

42類のサービス(和訳)
科学技術サービスとそれに関連する研究と設計; 産業分析および産業研究サービス; コンピューターのハードウェアとソフトウェアの設計と開発; テスト、認証、品質管理; 気候変動と地球温暖化の分野で科学的情報を提供する;環境保護の分野での研究; 環境調査

Class 42 (original)
Scientific and technological services and research and design relating thereto; Industrial analysis and industrial research services; Design and development of computer hardware and software; Testing, authentication and quality control; Providing scientific information in the field of climate change and global warming; Research in the field of environmental protection; Environmental surveys.

こちらの和訳もGoogle先生に手伝ってもらいました。一部変なところがあるかもしれませんがご了承ください。

有名な人が自分の名前を冠したブランド展開をする場合は、アパレル(装飾品など含む)や生活日用品(マグカップ等)を指定して出願することが多いのですが、モノは指定していないんですよね、そういった商売をするつもりがないのがわかります(でも、Gretaってプリントしてマグカップ売るのを今回の手続きでは止めさせることは出来ないんですが、それで大丈夫か?)。

なお、サービスの記述にも環境のことだけでなく、メンタルヘルスに関する記述が見て取れるのは、グレタさん自身が精神障害に悩み、現在はその病気と折り合いをつけながら付き合っていることにも関係がありそうですね。

まとめ

グレタさんの商標は自分が使用する・使用する可能性があるものに限定して取得しようとしているのがよくわかります。41類のエンターテイメント系が入っているのは少し?でしたが、何らかの娯楽イベントで資金集めを考えているのでしょう。41類は教えるというサービスの区分(クラス)ですが、楽しますという区分でもあります。41類を指定したら、どっちも願書に書きたくなるのはわかります。

以下、営業です。
外国のブランドの検索に興味がありますか?
今回の記事の件は、スウェーデンの国内出願ではなかったので、欧州連合商標で検索するのが効率良かったのですがスウェーデンの商標を検索した後に書きました。弊所では海外の商標検索セミナー・ワークショップを企画しています。ご興味のある方は、コチラでアンケートのご協力お願い致します。

By |2020-01-31T16:42:34+09:001月 31st, 2020|