大学を新設する方も商標登録を!!
2019年夏頃に、大学の名称に関するトラブルが発生しました。京都市左京区瓜生山(うりゅうやま)にある京都造形芸術大が「京都芸術大」に2020年4月に変更するということで、2019年の7月~8月にかけて「京都芸術大学」とその英文名称「KYOTO UNIVERSITY OF THE ARTS」の商標登録出願をします。客観的に略したら京都芸大なんですが、略称は学校の所在地とかけて「瓜芸」とのこと。
なんで、こんな略称にするかと言えば、同じく京都にある芸術大学「京都市立芸術大学」に配慮したからだとか。
でも、市立大学としては、そもそも造形大学に京都芸術大学という名前にしてもらいたくない、黙って指をくわえているわけにはいかない!ということで、「京都芸術大学」を含む5つの商標を出願しました。そして、2019年の10月時点での報道では、造形大学が京都芸術大学に改名しないように、市立大学が裁判に訴えているみたいです(争点は不正競争防止法の京都芸術大が市立芸大の周知・著名商品等表示に該当するか否か)。
「京都芸術大」名称訴訟 造形芸大側は争う姿勢 大阪地裁初弁論
来年4月に名称を「京都芸術大」に変更する予定の京都造形芸術大(京都市左京区)に対し、京都市立芸術大(同市西京区)が、新名称は混乱を招くとして使用しないよう求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、大阪地裁(杉浦正樹裁判長)であり、造形芸大側は争う姿勢を示した。(後略)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191008-00000037-mai-soci
両者やはり譲れないらしく、大学の名称についても、こういう法廷バトルになるんですね。結局どちらも「京都」の「芸大」というブランドがどちらも欲しいわけです。双方の気持ちもわかりますが、裁判は裁判所に任すとして、ここでは商標の問題にフォーカスします。
京都造形と市立芸大の商願
記事を書いてる時点で確認できる両者の芸大関連の商標は下記です。どうやら、市立大学さんは、これまで商標登録を持ってなかったみたいなんですよね。造形大学さんが京都芸大を名乗るということを知ってから急いで、京都芸大やその略称である京芸などを出願したみたいです。
でも、造形大学さんが、2019年7月17日に「京都芸術大学」を出願したことを何らかの形で知ったのでしょう。
カチンと来て、こうなったら私も「京都芸術大学」を登録してやる、、と思って2019年7月18日の1日遅れで出願したのではないでしょうか? だって、もともと京都芸術大学を出すつもりなら、7月11日にまとめて手続きすればいいですもんね。
どれが登録されるのか?
完全に一致する同じ商標「京都芸術大学」が1日前後で出されてます。商標は早い者勝ちの原則からすると、造形大学の出願が登録されるのかな?と思われますが、「京都芸大」と「京都芸術大学」をどちらも登録するということになると問題が起こりそうです。なぜなら、京都芸大には、「京都にある芸術大学というイメージ」があるからです。同じイメージのブランドが2つ、それぞれ違う人が持っているいるとややこしい、ということになるので京都造形大学の京都芸術大学の商標は登録されないと思いますけどね。
注:双方の指定役務に「大学における教授」が含まれているので指定役務は同一として考えています。
登録されると何が出来るか?
商標が登録されると、商標権が発生します。これはとても強い権利で、指定したサービスに登録商標と同じなものは言うまでもなく、似たものを使っている場合でも止めさせることが出来ます。今回は大学なので、どんなサービスかというと「大学における教授」ですね。市立芸大の京都芸大等が登録されると、造形大学は、基本的に京都芸術大学として「京都芸術大学」の看板(ブランド)で大学で教えたり、その目的で学生を募集することができなくなります。
自分のとこの名称を普通に使えるというルールもあるにはあるんですが、京都芸術大学は略称なんですよね。フルネームは「学校法人瓜生山学園京都芸術大学」のハズです。略称は著名でないと、そのルールもまた当てはまらなくなるので、新しく改名するような場合は難しいでしょう、ということで裁判の最終的な結果は、市立大学に有利な結果に落ち着くのではないかと思ってますが、どうなるでしょうか?
まとめ
大学で商標登録?と思われるかもしれませんが、大学も学生さんからお金をもらって教えているビジネスなので、各大学も商標登録いくつか持っているところは当然あります。逆に、持ってないとこもあります。日本で一番有名な大学の一つである東京大学なんかは、略称の「東大」の登録商標持ってますからね。市芸さんが予め「京芸」等の登録商標を持っていたらこのトラブルも起こらなかったかもしれません。
以下、営業です。
大学を開くにあたって商標登録は必須ではありません。でも以上のようなトラブルが起きるかもしれません。自分のとこの名称の商標ぐらいもってても損はしませんよ。事務方にやってもらうのではく、専門家に頼もうかなと思われる方、セージ弁理士事務所は初めて特許庁に手続きされる方には直接面談・オンライン面談にてお客様の要望を聞いてから手続きします。お問い合わせはコチラから。